2024.02.27

三陸道沿線におけるXRを活用した地域活性化策を提案

三陸道沿線におけるXRを活用した地域活性化策を提案

三陸道沿線に複数の道の駅を持つ宮城県登米市において、XRを活用した地域活性化に関するさまざまな施策を提案しました。

フィールドワーク

宮城県登米市の協力の下、市内にある2カ所の道の駅にて、三陸道沿線におけるXRを活用した地域活性化を目指すフィールドワークを実施しました。

道の駅・林林館では、建物内部の大きな吹き抜けを空間ディスプレイ化し、登米市のお祭りを紹介するスポットに変身させました。空間に3Dモデルが浮かび、祭の全容を紹介する動画をストリーミングで配信しました。

道の駅・津山もくもくランドでは、建物内部の大きな吹き抜けにARディスプレイを設置し、参加者が投稿した写真やお絵描き画像を配信しました。

同時に参加者のスマートフォンを利用したXRスタンプラリー体験も実施し、受講者はより現実的な提案に磨きをかけました。

グループワーク

image_01

フィールドワークの後は受講生たちがグループワークを行い、XRを活用して三陸道沿線地域を活性化するためのアイデアを出し合いました。

会場となった登米市の一大産業である林業に着目し、「人を集めるためには地域産業の振興が不可欠。林業とXRを組み合わせるとよいのでは」という意見や「道の駅に集客するために、道の駅を通過点ではなく、目的地として訪れる必要がある仕掛けを考えたい」という意見などが出ていました。

議論が白熱する中、講師から「面白いアイデアが出ているが、その前にきちんと課題を設定することが重要。課題に対してXRで何をするのか、どのように解決できるのか、それらを明確にしましょう」とアドバイスする場面も。

こうして最終プレゼンに向けて、意見を交わしながらアイデアを練り上げていく様子がみられました。

地域課題に対する提案発表

グループワークを終えると、各グループで考案した地域活性化の施策を発表しました。

●チェンソー無双
道の駅でXRを使ったチェンソー体験を実施する施策を提案しました。葉の形から幹の模様、伐採する感触まで精巧に再現し、普段触れる機会の少ないチェンソーを気軽に体験できることで道の駅の来訪者増を目指します。同時に林業に関心がある人にもアプローチできるため、林業従事者の減少という課題の解決へとつながることが期待できるとしました。

●XRによる津波体験
三陸道沿線の道の駅において、XRを使って目の前に迫る津波を実際に体験できる施策を提案しました。背景にあるのは、震災の記憶が風化しつつあるという課題です。街には津波到達点が印されていますが、実感が伴わないという声も。地元の方、とくに震災後出生者や防災に関心のある方、地震を知らない外国人研修生を対象に、防災意識を高めるための取り組みです。

●道の駅周遊を促すXRゲーム
三陸道沿線の道の駅の来訪者数を増やすため、「MY神様集め」と題したアプリゲームを提案しました。アプリ上で各道の駅に神様を配置し、道の駅のトイレや自販機などさまざまな場所を訪れて神様や関連アイテムを集めるゲームです。ユーザーの移動距離によって神様が成長し、指定された場所に行くとアイテムが手に入るといった仕掛けで、道の駅への訪問を促します。

●XRでいつでも伝統行事を疑似体験
XRで伝統行事を仮想体験できる施策を提案しました。登米の「米川の水かぶり」などの伝統行事に焦点を当て、現地でQRコードを読み込むとXR上で伝統行事を楽しむことができます。観光客は当日でなくても伝統行事を楽しむことができ、自治体側は伝統行事の保存や来訪者増、知名度向上というメリットが期待されます。体験後は地元商店のクーポンが取得でき、地域周遊を促進するというアイデアも出ていました。

この他にも、世界的な人気ゲームマインクラフトと連携してVRでマインクラフトや林業を体験できる企画「とめもくもくXRクラフト」などさまざまなアイデアが発表されました。

全体を通しての振り返り

各グループの発表を受け、ご協力いただいた登米市の方々と事業構想大学院大学の講師陣からは、以下のようなフィードバックがありました。

●登米市の方々から
「古くからある道の駅を通過点ではなく目的地に変えることは難しいと思っていましたが、たくさんのXR活用アイデアを聞いて、目的地化できるのではないかと興味深かったです」「面白いアイデアが多く、自治体の課題をしっかり分析してくれたと感じます」などとの感想をいただきました。

image_01

●事業構想大学院大学の講師陣から
「難しいテーマ設定でしたが、津波XR体験のように『見たい人だけが見られて、見たくない人は見なくてよい』というXRならではの良さや特性を活用できているアイデアが多数出ていました」と評しました。「今回でフィールドワークは終了となりますが、初期と比べて課題設定の仕方がブラッシュアップされていると感じます。登米市の現状や課題、強みをきちんと捉えた上で、XRでどう解決するかがよく考えられていました」と締めくくりました。

まとめ

全10回にわたって東北地方で実施されたフィールドワークも今回で最終回を迎えました。実際に地域に足を運び、地元の方と直接対話することで、より深い学びを得ることができました。各自治体の皆様ならびに関係者の皆様、ご協力いただきありがとうございました。

事業構想大学院大学 仙台修士課程 院生募集中

修士課程
2024年4月入学 院生募集中

地域の課題をつかみ
事業構想力で地域を活性化させる
実践的な学び、取り組みが
地域にイノベーションを起こしています

事業構想大学院大学 仙台募集要項はこちら