2024.02.27

サービスエリア「セデッテかしま」を活用した地域活性化策の提案

サービスエリア「セデッテかしま」を活用した地域活性化策の提案

福島県南相馬市にある常磐道南相馬鹿島サービスエリアに立地する観光商業施設「セデッテかしま」を活用し、地域産業の振興と地域活性化につなげるための施策を提案しました。

南相馬市における課題

南相馬市役所の担当者様などから、課題について以下のような説明がありました。

東日本大震災で大きな被害を受けた南相馬市が、復興のあゆみのなかで設置したのが、常磐自動車道南相馬鹿島SAに立地する「セデッテかしま」です。今後は、南相馬鹿島SAの優れた集客力を地域経済に波及させるべく、鹿島SA周辺開発の検討を進めていきます。

現在では年間130万人を超える利用者がある「セデッテかしま」は今後も来場者の増加が期待されています。その一方で、「サービスエリアの賑わいを市街地の活性化に活かせていない」「地元事業者はサービスエリアと自分たちの事業を切り離して考えている」といった課題があります。「セデッテかしま」設置の目的の一つである地域産業の振興と地域活性化につなげるためには、どのような施策が考えられるか検討したいとのことでした。

グループワーク

「セデッテかしま」でのフィールドワークの後、地元企業や農家、商工会の方々にも参加いただき、グループワークを行いました。

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地域課題に対する提案発表

受講生たちはフィールドワークとグループワークを経て、グループごとにアイデアや企画を提案しました。

●相馬野馬追伝承体験
国の重要無形民俗文化財である「相馬野馬追」に参加する伝承体験の開催を提案しました。野馬追の継承者が減少傾向である点に着目し、参加してもらうだけでなく技術伝承を目指す点に特徴があります。1年目は仮装のみ、2年目は乗馬体験つき…とステップアップ方式で体験内容をプラスしていき、繰り返し南相馬市を訪れてもらうこと、関係人口を増やすことを狙っています。

●サイクリングで婚活「走って恋!」
自治体が婚活に力を入れていること、地方への旅行に積極的なサイクリングファンが多いこと、南相馬市鹿島区にサイクリングロードがあることに発想を得て、婚活とサイクリングを組み合わせてファンを呼び込む「サイクリング婚活」を提案しました。セデッテかしまを起点として市内を巡り、コース近くの民宿や施設で交流会を行います。地域を巡ってお金を使ってもらうことで地域の活性化を目指します。

●ロボット産業を活用した周遊イベント
セデッテかしまと地域事業者の連携を強めるため、市街地を周遊してアクティビティを体験する仕掛けを提案しました。セデッテかしまでロボットの基盤を購入した後、市内各地で商品の購入や飲食をすると発行されるチケットに応じたロボットパーツを入手、基盤とパーツを組み合わせることにより、オリジナルなロボットが完成するというもの。南相馬市のロボット産業への取り組みを活かすとともに、地域産業の振興を図ります。

このほかにも、メタバースで野馬追を体感できるコンテンツの設置や、利用者の7割を占めるトラックドライバー向けの施策など、さまざまな切り口の提案がありました。

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全体を通しての振り返り

各グループの発表を受け、ご協力いただいた南相馬市の方々、事業構想大学院大学の講師陣からは以下のようなフィードバックがありました。

●南相馬市の方々から
「今の時代にあったSNSやデジタルを活用した施策があり、新たな発見がありました」「南相馬の魅力として『馬』は大切な要素です。相馬野馬追から連想した提案もありましたが、地元の人の馬に対する愛着を高めるには、野馬追から切り離した、違う切り口からの施策も必要だと感じました」などの感想をいただきました。

●事業構想大学院大学の講師陣から
各発表に対して「伝統文化を技術継承していくという発想がよかった。実際にやっているところもあり、関係人口を増やせる可能性が高い」「サービスエリアであることを活かしつつ、新鮮な切り口の発想が見られた」といった講評がありました。また、「非常に難しいテーマであったにも関わらず、どのグループもよく検討されていた」との言葉をいただきました。

まとめ

すでに集客力があるサービスエリアを地域振興に活用するという難しい課題でしたが、地元の方と意見交換しながら、南相馬市の持つ産業や地域性に寄り添った提案ができました。

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