2024.01.30

宇宙×地域資源を活用した角田市ファン育成策を提案

宇宙×地域資源を活用した角田市ファン育成策を提案

少子高齢化や都市部への人口流出を課題とする宮城県角田市の関係人口を増やすため、宇宙をはじめとする地域資源を活用した町づくりの施策を提案しました。

角田市における課題

角田市役所の担当者様からは、角田市の課題と取り組みについて以下のような説明がありました。

角田市では、他の地方自治体と同様に、少子高齢化や都市部への人口流出という大きな課題を抱えています。その解消のため、今後10年間で優先的に進める取り組みとして、「市民力」「地域共生」「地域資源フル活用」という基本理念を掲げています。

「市民力」においては将来を見据えた人材育成事業を行い、「地域共生」では地域活動、子育て支援、医療体制などの施策に取り組んでいます。また、「地域資源フル活用」では、農業振興や企業誘致のほか、公共交通システムの存続、道の駅やJAXA施設などの既存施設を有効活用した地域経済の活性化、スポーツを活かした町づくりにも取り組んでいるとのことでした。

グループワーク

グループワークでは、角田市の生涯学習で主催する地域大学「かく大學」のメンバーに参加してもらい、意見を交わしました。JAXA「角田宇宙センター」は、全国に数カ所しかない貴重な地域資源でありながら、「角田市に宇宙が関わっていることの認知度が低い」「市内でもっと宇宙への熱量を高める余白がある」などの課題があることが見えてきました。

image_01

地域課題に対する提案発表

受講生たちはフィールドワークとグループワークを経て、グループごとにアイデアや企画を提案しました。

●市民の宇宙熱を高めるための「かく大學」活用施策
角田市にすでにある生涯学習で主催する地域大学「かく大學」に宇宙科学部を設置し、市外から宇宙ファンを集めることで、まず外部から盛り上げ、最終的には市民の関心が薄いという課題を解決するというアイデアを提案しました。市内全体の施設をキャンパスとして活用する、阿武隈急行を銀河鉄道としてブランド化するなど、宇宙をメインとして市内全体を活性化する施策を考えました。

●角田市全体を宇宙テーマパーク化した市内巡り
角田市全体を宇宙テーマパーク化し、角田市内のお店や施設を「〇〇星」と見立てて街巡りをしてもらうという企画を検討しました。市民が経営している商業施設や飲食店への集客、遊休地の活用など市民参加型の仕組みを作れるところにメリットがあります。マネタイズする仕組みとして、ノベルティつきチケットの販売を提案。また、ふるさと納税で宇宙をイメージした返礼品を提供するという案も出ました。

●地域×JAXAで角田市発の宇宙食を共同開発
市内の小中学生、地域企業、JAXAが協力して、地域食材を使った宇宙食を開発するプロジェクトで、角田市が取り組む「市民力の向上」や「地域資源活用」を目指すというアイデアを提案しました。地域の子どもたちの総合的な探求学習の場となるとともに、宇宙食は保存がきく防災食としても活用できるというメリットもあるとしました。

小中学生をターゲットとした宇宙飛行士養成プログラム 小中学生をメインターゲットとして宇宙飛行士の訓練を模したプログラムを実施する企画を提案しました。県外の子どもも対象とし、サバイバル技術、水泳技術、写真技術、語学、メディア対応など、コース制のカリキュラムを受講しに来てもらうことで、角田市への訪問回数を増やし、滞在期間を長くすることを狙っています。

このほかにも、阿武隈急行の使わなくなった車両を活用したロケットホテルや、全国に向けた宇宙情報発信のチャンネル開設などユニークな提案がありました。

image_01

全体を通しての振り返り

各グループの発表を受け、ご協力いただいた角田市の方々、事業構想大学院大学の講師陣からは以下のようなフィードバックがありました。

●角田市役所の方々から
「自由な発想で、角田の資源や市民の可能性を感じた発表でした。客観的な視点で地域資源への意見をもらい、刺激を受けました」「宇宙というテーマを現実世界に落とし込みながら、どうやったら宇宙の魅力を感じてもらえるかを考えたおもしろいアイデアがありました。市での事業化には難しさがあるが、発表されたアイデアを参考に大切に育てていきたいと感じました」などの感想をいただきました。また、「視野や発想を広めるために、市の職員もこういった学びの場に参加したい」という言葉もありました。

●事業構想大学院大学の講師陣から
各発表に対して「全国から宇宙好きを集めるという企画は、熱量のあるファンがお金を落とす性質をうまく捉えている」「小中学生をターゲットにした企画や、町全体をテーマパーク化した町おこしはすでに事例があり、実施成功率が高い」といった講評がありました。また、「全体的に楽しく、かつよく考えられている発表だった」としたうえで、「市内の歴史的建造物など、宇宙以外の地域資源も合わせて考えられるとさらによかった」とのアドバイスがありました。

まとめ

宇宙という地域資源を活かして、各グループが大胆な発想に踏み込んだ企画を提案することができました。また、単なるアイデアにとどまらず、マネタイズや具体的な事業化において実現可能性を高めた提案内容になってきました。

事業構想大学院大学 仙台修士課程 院生募集中

修士課程
2024年4月入学 院生募集中

地域の課題をつかみ
事業構想力で地域を活性化させる
実践的な学び、取り組みが
地域にイノベーションを起こしています

事業構想大学院大学 仙台募集要項はこちら