2024.01.26

登米林業の魅力を生かした、新サービス・新事業を提案

登米林業の魅力を生かした、新サービス・新事業を提案

市の面積の約4割が森林という緑豊かな宮城県登米市において、基幹産業の一つである林業の新しいサービスや事業について考え、提案しました。

登米市における課題

登米市役所や関係者の方々から以下のような課題説明がありました。

宮城県北東部に位置する登米市は、人口約7万4000人。東北一の大河「北上川」やラムサール条約登録湿地の「伊豆沼・内沼」など自然な豊かな環境です。農業が盛んな地域であり、米の産地であるとともに、本州一を誇る全国有数の肉用牛の生産地となっています。

また、森林面積は2万2058ヘクタールあり、市の面積のうち約4割を森林が占めています。このうち、国有林を除く民有林が約1万9000ヘクタールで、スギやヒノキ・アカマツなどの人工林が69%を占めていることから、林業・木材産業も盛んです。

しかし、全国的に木材価格の低迷に伴う木材生産が停滞していることから、林業就業者は減少・高齢化という課題があります。また、林業は50年以上の長い年月を要する産業であるため、住宅着工戸数の減少など時代の変化に応じた木材の活用や担い手育成など、持続可能な産業としての育成を図っていかなくてはいけないとのことでした。

グループワーク

受講生たちは、津山町森林組合で木材市場を見学したり、住宅用建材の製造をしている株式会社佐藤製材所や木工加工研修センターを訪ねて話を聞いたりしました。フィールドワークの後は、グループワークで課題を整理したり、事業構想のアイデアを出し合ったりました。

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地域課題に対する提案発表

フィールドワークとグループワークを経て、グループごとにさまざまなアイデアを提案しました。

●登米林業を生かした「癒やし」と「エシカル」を提案
登米市らしさ・木の温かみを生かした「休憩室」「個室ワークスペース」を設置し、リラックス体験を提供することを提案しました。例えば、オフィスに木の休憩室を設けたり、木の香りを感じられる集中ワークブースを設けたりするというものです。林業従事者と樹齢の2つの高齢化が課題であると捉え、木材の消費量増加と高付加価値をつけて利益が確保できれば課題解決につながるのではないかと考えました。

●サーファーによる登米市の林業の活性化
サーファーに移住してもらい、サーファー向けの商品を開発するなど登米市を「サーファーの町」としてブランド化することを提案しました。内陸でありながら、仙台・南三陸のサーフスポットへのアクセスが良いという点に着目し、林業の担い手の確保や市外からの往来を増やすことを狙いとしています。

●森とつながり、森を応援する材木積み立て
DIYに必要な材木と費用を森林組合で積み立てし、積立金が貯まったら、材木の提供を受けて、DIYで家具づくりやリノベーションができる事業を提案しました。プロによるレクチャー・サポートをつけ、目的別にプランを立て、積立金の一部を森林組合に還元するというものです。林業とのつながりや、持続可能な林業や森づくりを目指したアイデアとなっていました。

このほか、登米の木材チップを牛用飼料に活用した耕畜連携の取り組みや、ドローン学校と林業事業者の育成を考えた「半林半X」の事業、森林整備計画がある登米市図書館に木材家具のショールーム機能を持たせるメタバースを活用した林業などといった提案もありました。

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全体を通しての振り返り

各グループの発表を受け、ご協力いただいた登米市の方々、事業構想大学院大学の講師陣からは以下のようなフィードバックがありました。

●登米市の方々から
全体を通して「地元に住んでいるのに気づいていなかった発見がたくさんありました。着眼点がおもしろく、いろいろと調べた上での具体的な提案も多くありました。参考にし、取り込めるアイデアは活用していきたい」との講評いただきました。また、「メタバース上で林業体験できるというアイデアも印象的でした。実際に登米市のオンラインゲームをつくろうという話がでたこともあったので、参考にしたい」との感想もありました。

●事業構想大学院大学の講師陣から
各グループの発表に対して「現状分析をして、出荷量の最大化ができれば担い手を確保できるはずだという結論の導き方がとても良かったです。林業は難しいテーマになるかと思っていましたが、テクノロジーを取り入れることを考えるなど、いろんなアイデアが生まれていました」と総括。さらなるステップアップとして「着眼点がおもしろかった分、具体的な事業案としてはもう少しひねることができそうな具体案もありました」などとアドバイスがありました。

まとめ

受講生にとって林業はあまりなじみのない分野だったかもしれませんが、実際に木に触れたり、話を聞いたりすることで木の温かみや魅力を実感していたようでした。講師陣は、ロードマップを立てて本当に事業を実施できる人がでてくることを期待していました。

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