2024.01.25

ふるさと納税を活用し、岩手県・北上市のファンを創出する

ふるさと納税を活用し、岩手県・北上市のファンを創出する

岩手県北上市のふるさと納税を活用し、どうすれば地域課題の解決につながる取り組みができるかを考えました。

北上市における課題

北上市役所や関係者の方々から以下のような課題説明がありました。

約9万1000人が暮らす北上市。各自治体のふるさと納税に関する考え方はさまざまですが、北上市では「いただいた寄附金を活用し、地域課題の解決を図る」ことをミッションとしています。

具体的には、産業振興や雇用の創出、事業拡大などです。しかし、ここ数年は主軸事業者の創出ができていないとのこと。また、ふるさと納税寄附者のリピーター率が2割程度である点も課題となっています。

グループワーク

受講生たちはフィールドワーク後、グループワークで課題を整理したり、事業構想のアイデアを出し合ったりました。

「地元に根付く伝統文化を守るクラウドファンディングサイトができないか」といった意見や、北上市が誘致を目指しているリニアコライダーに着目し「建設期間やそのプロセスを価値に変えることができれば、北上市にしかない体験を提供できるのではないか」との意見が出ていました。

また、ふるさと納税をする前段階に注目したグループも。まずは北上市を好きになってもらう、興味を持ってもらうことを優先し、ファミリー層が多い姉妹都市である千葉県流山市の子育て世帯との交流を起点に事業を考えられないかと意見を交わしていました。

北上市は企業誘致に成功していることから、「ガバメントクラウドファンディング(GCF)」などを活用し、北上市で働いたら自治体から補助金が出るような仕組みについて議論するグループもありました。議論の中では「スモールスタートで始めやすいもののほうがいいのではないか」との意見も出ていたようです。

ワークの中盤では受講生が北上市の担当者の方々に質問をぶつける場面も。「移住を期待している年齢層は?」「今後のふるさと納税の展望は?」「北上市の既存の強みは?」などの質問に答えてもらうことで、北上市の輪郭をよりはっきりと捉えることができました。

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地域課題に対する提案発表

フィールドワークとグループワークを経て、グループごとにさまざまなアイデアを提案しました。

●「鬼剣舞」を活用したデジタル上での関係人口の創出
北上市で盛んな伝統的な踊り「鬼剣舞」を活用し、デジタルとリアル双方で関係人口を創出する事業を提案しました。YouTubeでターゲット別に鬼剣舞の見せ方を変えた動画を発信したり、メタバース(仮想空間)上で鬼剣舞を踊ったりするというアイデアです。NFTを使って衣装を画像で販売して「デジタル剣舞人」になれるなど、ゲーム感覚で伝統文化に触れあう機会を増やしてはどうか、という意見も出ました。

●グリーンツーリズム×農業オンラインゲーム
グリーンツーリズムなど体験型のふるさと納税返礼品を提案しました。農業の魅力を伝えていくとともに、寄附者と北上市におけるそれぞれの課題と価値を交換することを目的としたものです。また、農業体験に地元のイベントや温泉などエモーショナルな体験を付け加えることで、北上市にしかない体験が生まれる可能性があるとしました。さらに、関係人口を増やすには「ゆるいつながり」を増やすことも必要だとして、若者や女性も楽しく参加できるオンラインでの農業体験ゲームの場を提供し、興味を持ってもらうという案も出ていました。

●ふるさと納税を活用した北上ファンの育成策
ふるさと納税をしていない層や固定の納税先を持っていない人、北上市に対して何か力になりたいと思っている人をターゲットにした「初めてのふるさと納税セット」を提案しました。また、ふるさと納税の返礼品でチーズケーキが人気という点に着目し、“チーズ好きの聖地”としてのイメージ作りなどのアイデアもありました。

このほか、「リニアコライダー建設にかかる10年間の雪の結晶をNFTにする」といったアイデアや、姉妹都市の千葉県流山市の子育て世帯とコラボした「サードおばあちゃん」、ふるさと納税を繰り返し行うことで積み立てポイントを貯め、より良い条件で北上市に移住出来るなど、ユニークな案が各グループから発表されました。

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全体を通しての振り返り

各グループの発表を受け、ご協力いただいた北上市の方々、事業構想大学院大学の講師陣からは以下のようなフィードバックがありました。

●北上市の方々から
「人との関わりや古くから地元に残る伝統など、それぞれのチームが見出した北上市の“価値”を掘り下げ、こちらの意図が伝わったと思われるような提案やアイデアをもらえました」。また、「他の人の視点を持つとこれだけ見え方が変わるのかということを感じました。私たちはふるさと納税には『幸せを感じる』視点を求めているのだろう、という発見もありました」との感想もありました。

●事業構想大学院大学の講師陣から
各グループの発表に対して「アイデアは変化球からしか生まれません。今回はどこかで聞いた話というのがあまりなく、前回から比べると非常に良くなっています」と講評。「アイデアを多く出すのが事業構想の基礎。視野を広げてみたり、一つに絞って深掘りしてみたりと、限られた時間で想像力豊かなアイデアが出てきていたと思います」との言葉もありました。

まとめ

データ分析ももちろん大切ですが、フィールドワークで実際にいろんな分野の方々から話を聞くことで、データ上だけでは見えてこない事業構想のヒントを見つけることができました。

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