2024.01.24

空洞化させない、八戸市中心市街地の活性化を促す新たな施策を

空洞化させない、八戸市中心市街地の活性化を促す新たな施策を

青森県八戸市の中心市街地を活性化させるため、観光客を呼ぶための新たなコンテンツや地域住民の交流など、さまざまな観点から新たな施策を提案しました。

八戸市における課題

八戸市役所や関係者の方々から以下のような課題説明がありました。

八戸市の中心市街地(八戸中心街)は、活性化が課題となっています。行政が中心市街地活性化基本計画を策定し、文化交流施設を集中的に置くなどの取り組みを進めていますが、郊外のショッピングセンターに人が流れてしまうなど、さまざまな課題があります。

老朽化したビルや空きビル、空きテナントが増えており、若い世代が中心市街地に出店したい意向はあっても、郊外に対して家賃が高いという問題もあります。また、子育て世代からは集まる場所が足りないとの指摘がありますが、高齢者世代からの意見と乖離する部分もあります。

そして何よりも、市全体が人口減少という大きな問題を抱えており、地域住民以外の来訪者をいかに増やすかも重要なポイントになるとのことでした。

グループワーク

受講生たちはフィールドワーク後、グループワークで課題を整理したり、事業構想のアイデアを出し合ったりました。

「市内・市外両方の来訪者を増やす」ことを考え進めていたグループでは、地域住民だけの集客では限界があるとし、「現在ある文化や観光資源を活かしつつ、それだけでは足りない何かを補って、市内・市外両方からの来訪者を増やすための新しいコンテンツを考えたい」との意見が出ていました。

このほかにも、子育て支援を中心に据えた施策を検討した方がいいという意見や、世代間の交流を深められる施策はないかという議論が生まれていました。

image_01

地域課題に対する提案発表

フィールドワークとグループワークを経て、グループごとにさまざまなアイデアを提案しました。

●八戸の朝市文化を活用した観光客増加施策
観光者をターゲットとして、早朝から0泊目として八戸市を訪れてもらい、中心街の利用客を増やすプランを提案しました。八戸を代表する巨大朝市「館鼻岸壁朝市」に高速バスで到着し、朝市を見学したあとは、もう一つの朝の文化「朝風呂」で銭湯文化を体験。日中は各地を観光し、夜は中心街の飲み屋を訪れてもらうというものです。中心街の飲食店に関して、店の人の顔が見える情報発信を行うことも重要ではないかとの意見も出ました。

●流行のサウナを組み合わせた新コンテンツ
中心街にある八戸市美術館内にテントサウナを設置して来訪者を増やす施策を提案しました。八戸市の銭湯、アート、酒蔵、横丁といった既存の資源に、流行の「ととのう」をプラス。「対外的に強いコンテンツがない」という現状の課題を解決し、他県から来県する動機を強化するという狙いです。地域のお風呂文化を活用するほか、酒蔵の水を使用する、美術とサウナのコラボレーションという新しい体験など付加価値を加えたいとしています。

●地域の若年層が通いたくなる場所づくり
現在中心街にある八戸屋台村「みろく横丁」に並ぶような「アート横丁」を新設するプランを提案しました。みろく横丁や伝統工芸などの既存の文化を活かしつつ、参加型の美術カフェや美術館、アートの神様を祭るアート神社、お酒のスタンプラリーなどの新しい企画を盛り込みました。継続的な遊びがある場所づくりを行い、地域の若年層にも中心街に来てもらえるようになることを目指しています。

このほかにも、地域のコミュニティを強化し、幅広い世代の交流を促すための「せんべい汁を囲む会」などの提案がありました。

image_01

全体を通しての振り返り

各グループの発表を受け、ご協力いただいた八戸市の方々、事業構想大学院大学の講師陣からは以下のようなフィードバックがありました。

●八戸市の方々から
各発表に対して「いろいろなアイデアをいただいたので、具体的な検討につなげたいと思います。市だけでなく民間主導での情報発信をどう構築していくかも検討していきたいです」との感想がありました。また、受講生に対して「地方の人口減少や少子高齢化はどの自治体でも大きな課題であり、それを解決するのは、ビジネスチャンスであるともいえます。ぜひ、皆さんも今後のビジネスにつなげてほしいと思います」とエールをいただきました。

●事業構想大学院大学の講師陣から
どれも八戸市の文化に寄り添った提案になっていたとしたうえで、「あえて厳しく言うなら内容が素直すぎると感じました。事業構想はマスから考えないのがポイント。もう少しひねりを加えてほしい」との講評がありました。次回以降に向けて「すでにあるものに乗っかるというよりも、新しいプロダクトをつくる、埋もれているものを掘り出す、ということが重要です。次の機会では、変化球を意識していろいろなものを生み出してほしいと思います」とのアドバイスがありました。

まとめ

短い滞在時間のなかで、地域の文化や課題を少しでも感じ取ろうという受講者の気持ちが感じられるフィールドワークとなりました。受講生たちは検討した提案や企画は持ち帰り、引き続きブラッシュアップに励みます。

事業構想大学院大学 仙台修士課程 院生募集中

修士課程
2024年4月入学 院生募集中

地域の課題をつかみ
事業構想力で地域を活性化させる
実践的な学び、取り組みが
地域にイノベーションを起こしています

事業構想大学院大学 仙台募集要項はこちら