2024.01.24

盛岡市の魅力をさらに高める、高付加価値な観光政策を考える

盛岡市の魅力をさらに高める、高付加価値な観光政策を考える

観光地として、海外からもすでに注目を集めている岩手県盛岡市。さらに高付加価値化するための施策を考えました。

盛岡市における課題

盛岡市における価値や魅力を「盛岡ブランド」と位置づけ、「4つの物語」として整理しています。1つ目は四季の移ろいを身近に感じられる「自然と暮らしの物語」、2つ目は特産品や郷土食が大切にされているものが多くあることから「暮らしと伝統の物語」、3つ目は多くの文学者や作品を生み出している「先人と文化の物語」、そして4つ目は人情にあふれた人が多く住んでいることに由来する「人と人とを紡ぐ物語」です。

このように、都市と自然、利便と伝統、機能と情緒など、一見すると相反する要素が、バランスのよい盛岡らしい調和を生んでいます。そうした取り組みが評価され、2023年1月にはアメリカの「ニューヨーク・タイムズ」紙の「2023年に行くべき52カ所」に掲載されました。

しかし、観光地としてどう定着させていくか、どんな高付加価値をつけられるのか。また、東北全体で見ると「周遊」という部分においてはPRが足りていない点に課題を感じているとのことでした。

グループワーク

受講生たちは午前中のフィールドワークで盛岡市を歩いて回りました。

そして、グループワークに入る前に、盛岡市役所の方々から「観光は人や場所など条件によって異なるので、正解はないと思います。訪日観光客の多くは、大都市や東京などの有名な観光地には2回も行けば飽きてしまうので、知られていない地域の魅力を紹介することで、外国人観光客を受け入れる懐が深くなるのではないかと考えています」というお話がありました。

また、事業構想大学院大学の講師陣からは「自分がお金を出してでもそれをやりたいか・欲しいかを考えて、アイデアを練ってみてください」とのアドバイスがありました。

こうしたさまざまなアドバイスを踏まえ、一同はグループワークに入りました。

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地域課題に対する提案発表

フィールドワークとグループワークを経て、グループごとにさまざまなアイデアを提案しました。

●“嬉し泣き”に変わる慰めの聖地に
「慰めて盛岡!」と題し、「開運橋」を慰めの聖地にし、嫌なことがあっても泣いて橋を渡り、立ち直り、“嬉し泣き”で盛岡から帰ってもらおうという施策を提案しました。また、開運橋にはガチャガチャを設置し、それをまわすと宿泊場所やおすすめのパワースポットが出てきたりするという案など、ユニークな施策が飛び出しました。

●プラチナマップを活用した観光資源の可視化
デジタル上でオリジナルのマップを作成できる「プラチナマップ」を活用した観光資源の可視化及び活性化を提案しました。例えば、朝のコンテンツとして朝ごはんマップや、盛岡から1時間で行ける観光マップなどです。また、既存の資源を生かして体験を通じた高付加価値化を展開する例として「わんこそば協会」を発足し、検定ビジネスを立ち上げるなどの施策を考えました。

●鉄道とメタバースでディスコ
バブル世代が次第にシニア層に突入していくことに着目し、シニア層の代表的な趣味である「音楽」や「ダンス」を絡めた観光施策を提案しました。鉄道会社とコラボレーション企画したディスコイベントの企画や、ダンステックを活用したメタバース(仮想空間)上でも楽しめる企画など用意し、会員課金制のビジネスモデルを考えました。

このほかにも、ペット同伴旅行者向けのツーリズムや、既存の地域マネー「MORIO Pay」を生かした健康増進の提案などがありました。

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全体を通しての振り返り

各グループの発表を受け、ご協力いただいた盛岡市の方々、事業構想大学院大学の講師陣からは以下のようなフィードバックがありました。

●盛岡市の方々から
「イマジネーション豊かな考え方がたくさんあり、なるほどと思いました」「観光客に対する食事処の紹介の仕方に悩んでいたので、デジタルマップの活用の仕方は納得感がありました」などの感想がありました。また、受講生のアイデアに対して、実現するためにはさらにどんなことが必要なのかという視点からのフィードバックやヒントもいただけました。

●事業構想大学院大学の講師陣から
各グループの発表に対して「フィールドワークでの話を拾い上げていたアイデアや、ユニークなアイデアが出ていました」と総括。また、開運橋を意味付けしてスポット化する案について「地域デザインのひとつに『トポスデザイン』という、場所に意味を持たせる手法があります。ひとつのストーリーとして考えられれば、この提案は十分に実現可能なものです」との講評もありました。

まとめ

それぞれのグループの発表内容を起点に、さらに実現可能な具体化するための議論も盛り上がりました。受講生たちは、盛岡市の方々や講師陣からのアドバイスに大きくうなずいたり、ペンを走らせたりしていました。

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