2024.01.24

山形県米沢市のデータを分析し、ファンを増やすための施策を考える

山形県米沢市のデータを分析し、ファンを増やすための施策を考える

山形県米沢市を訪れ、米沢ファンを増やすとともに、地域課題を解決できる事業や取り組みについて考えました。

米沢市における課題

米沢市役所や関係者の方々から以下のような課題説明がありました。

歴史的名所や旧跡が数多くある山形県米沢市。これまでのブランドコンセプトは「上杉の城下町」であることを中心軸に据えてきました。しかし現在、歴史を中心にしたコンセプトに惹かれる層が減少しており、米沢ファンを獲得するために新たなブランドコンセプトや施策を考える必要があります。

米沢市は東京や仙台から約2時間、多くの訪日観光客に人気の観光地・蔵王から約50分という地の利があります。さらに米沢市には複数の大学があるため常に約3000人の学生がおり、自動車の免許合宿で県外の若年層も多く訪れます。

これまでの大量輸送・大量消費を前提とした観光産業の仕組みが成り立ちづらい状況の中、こうした若者の流入やアクセスの良さを生かしきれていないことも、米沢市の抱える課題の一つとなっているとのことでした。

グループワーク

受講生たちはフィールドワーク後、グループワークで課題を整理したり、事業構想のアイデアを出し合ったりしました。

地域の困りごとである雪を観光資源として活用するアイデアや、宿泊客を増やすために寺に宿泊するツアー、これまでの座学で学んだXR(クロスリアリティ)を活用し、米沢の歴史的人物である上杉鷹山公のバーチャル講義を行うアイデアなど、どのグループも活発に意見が飛び交いました。

ある受講生は「米沢市内でのフィールドワークの際、『1日1メートルも雪が積もるから大変』という住民の方の声を聞きましたが、観光客にとって雪は新鮮で興味深いもの。例えば都会の親子に雪かき体験を提供して地域と観光客をつなげるような、地域の困りごとを観光に生かす案を考えたい」と話していました。

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地域課題に対する提案発表

フィールドワークとグループワークを経て、グループごとにさまざまなアイデアを提案しました。

●地元で厄介者の「雪」を観光資源に
時に地域の弱みともなっている「雪」を観光に生かすツアー事業を提案しました。訪日観光客や雪が少ない地域のファミリー向けに、東北を代表する風物詩「上杉雪灯篭まつり」の準備や、かまくら作り体験を提供するプランです。例えば、地元中学生と協力してかまくら作りを行うもので、中学生にとっても地域イベントに関わる経験になるのではないかとの意見がありました。

●ふるさと納税を活用したコミュニティをつくる
ふるさと納税やクラウドファンディングなどを活用したコミュニティの形成を提案しました。ふるさと納税の返礼品を地元の高校生と一緒に開発するというもので、高校時代にしっかり関係を築いて地域への愛着を形成する狙いがあるといいます。また、地元内外の小学生を対象にした夏休みの宿題対策にもなる観光学習ツアーなどのアイデアもありました。

●上杉鷹山の思想や暮らしを追体験
上杉鷹山公の思想や暮らしを追体験するツアーを開催するアイデアを提案しました。訪日観光客をターゲットに、寺や農家に宿泊して、地元の人や学生がガイドをするという内容です。東京や京都など有名な観光エリアを訪問済みのコアな日本ファンに向けて、地域のディープな魅力を伝えていくことがポイントです。

このほか、空き家をゲストハウスにして学生が運営するアイデアやなどの発表がありました。

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全体を通しての振り返り

各グループの発表を受け、ご協力いただいた米沢市の方々、講師陣からは以下のようなフィードバックがありました。

●米沢市の方々から
各グループのアイデアについて「ふるさと納税の活用では返礼品に若者のアイデアを取り入れることで、より魅力的な商品作りと関係人口の創出を両立できる案になっていると思いました。また、寺に宿泊するツアーは切り口がよく、米沢市には寺が多数あるものの観光にうまく活用できていなかったので、ぜひリサーチを進めて提案化したい」との評をいただきました。また、「高齢化が進み、雪かきができない世帯が増える中、地域課題である雪を観光資源として捉えるアイデアは非常に画期的です」との声もありました。

●事業構想大学院大学の講師陣から
実践科目の初回であったにも関わらず、アイデアが多数出ていたことはよかったとして、「これで終わりではなく、材料がそろった状態。ぜひ今後これらのアイデアを実践できるよう膨らませてください」との激励がありました。また、「アイデアを提案するとき、必ず誰がやるのかという問題がセットになる。自分がどういう条件だったらできるか、という視点を持って次回以降に生かしてください」とのアドバイスもありました。

まとめ

フィールドワーク・グループワークを通じて、地域課題の解決に取り組む実践者の方々と意見を交わすことで、互いに気づきを得られる貴重な機会となりました。

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