2023.11.28

3日目 「新たな価値構想」と「新たなテクノロジー体験・活用」

3日目 「新たな価値構想」と「新たなテクノロジー体験・活用」

「新たな価値構想」として、地域活性化に活用されつつあるメタバースやNFT、DAOなどの基礎知識から最新事例及び活用法などに触れ、新たな価値を創造するためのヒントを学びました。「新たなテクノロジー体験・活用」では、授業で紹介された最新技術をその場で実際に体験することで、より一層学びを深めました。

新たな価値構想①新時代の鍵を握る、Web3とNFT

講師:事業構想大学院大学 教授 渡邊 信彦 氏

この講義では、新しい価値を築く鍵となるテクノロジーと思考法に触れることが目的です。リアルメタバースプラットフォーム「STYLY」を運営する株式会社Psychic VR Lab取締役COOでもある渡邊教授は、現在が社会構造の転換期に入っていることを指摘した上で、価値観の多様化が進む新しい時代において「全く新しい価値を創造すること」の重要性と、その手法について解説しました。

さらに、新しい価値を創造するためにWeb3(分散型インターネット)が不可欠だと述べ、「Web3の根幹となる分散型プラットフォームは、これまでになかった価値を創造することによって、現代社会の構造変化にとどまらず、人類史における新たな世界創造のムーブメントとして、人々のライフスタイルを根本から変化させていくものとなるでしょう」とWeb3の可能性について論じました。

また、NFT(非代替性トークン)にも焦点を当て、デジタルアートの取引だけでなく、NFTが価値を持たせることができなかったものを価値化し、所有できなかったものでも所有を可能にする手段としての重要性を強調しました。NFTを活用した限界集落の地方創生事例を挙げ、メタバース上でDAO(自律分散型組織)がどのように推進されたかについて詳しく解説しました。

DAOは「こんなことをやりたい」や「こんな社会を実現したい」という未来的なビジョンを提示すると、それに共感したメンバーが自発的に集まって個々の能力を発揮する組織です。ブロックチェーン上の組織で特定の管理者がおらず、分散型の意思決定システムや高い透明性を持つといった特徴があり、従来の会社組織とは大きく異なる点についてもわかりやすく解説しました。

最後に、新しい時代において現実と仮想空間の価値が逆転する可能性に触れ、新しい価値観をキャッチしながらテクノロジーをどのように使うのかが重要だと締めくくりました。

新たな価値構想②地方創生から企業活動まで、リアルメタバースの可能性

講師:事業構想大学院大学 教授 渡邊 信彦 氏

「新たな価値構想」後半の授業では、引き続き渡邊教授が、リアルメタバースプラットフォーム「STYLY」を運営する知見からメタバースの実情を解説しました。

オンライン上に構築され、さまざまな活動が可能な仮想空間を指すメタバース。これまでは日常生活をバーチャル空間に持ち込んで没入するバーチャルメタバースが主流でしたが、リアルな空間を拡張して日常空間にバーチャルレイヤーを持ち込むリアルメタバースが台頭しています。こうした時流の中、社会構造やライフスタイルを変える可能性やメタバースを効果的に活用するために何が必要かについて語りました。

その中で、2024年にアップル社から発売が予定されているスマートグラスがゲームチェンジを引き起こす可能性に触れ、近い将来に現実と仮想空間が重なる世界を生きる時代が訪れるという予測や、それによって何が起きるのかという展望の話に、受講生も関心を寄せていました。

具体的なリアルメタバースの事例も登場。ニューヨークのデジタルツイン上でアート作品を作って販売した例や地方自治体における防災訓練での活用例、XR(拡張現実)を活用した地方創生の事例などが紹介されました。渡邊教授は、仮想空間だけで完結するのではなく、現実を拡張することの有用性を説いた上で、リアルメタバースでは都市や空間が表現の媒体になり、仮想と現実が融合した新しい価値構造が生まれると強調しました。

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新たなテクノロジー体験・活用先端技術のARやXRの可能性を学び、体験する

講師:株式会社NTT QONOQ 岩崎 正典 氏、
エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社 富永 泰治 氏

講義の前半では、XRデバイス事業やメタバース事業などを行う株式会社NTT QONOQの岩崎正典氏をゲスト講師に迎え、XRの基礎知識とXRを活用した地域課題の解決について学びました。講義では、地域イノベーションツールとしてのXRについて、文化遺産をはじめ、教育やオフィスワーク、農業、観光などさまざまな業種での事例が紹介されました。

AR(拡張現実)とMR(複合現実)の基礎知識に焦点を当て、岩崎氏はその違いや利用例を説明した上で、「今後の地域発展にとって、これらの技術を活用して人の流れをいかにコントロールするサービスをつくれるかが鍵となります。これまでは現実の世界で人がどこに興味を持ったかを観測することは難しかったのですが、今後は人の視覚や視野を理解することがマーケティングにおいて重要になります」と強調。ARやXRによってデジタルマーケティングが劇的に進化する可能性も指摘しました。

続いて地域社会のDX支援を行うNTTコミュニケーションズの富永泰治氏がゲスト講師として登壇し、データ利活用や地域課題の解決に関する取り組みについて解説しました。

地方創生の必要性や人口減少への対策、ICTを活用したシティプロモーション、VRの活用、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)導入など、地域の課題解決に取り組んできた経歴を紹介。特に現在取り組んでいる地方自治体のアプリを通じた住民や観光客への情報提供や地域プラットフォームの構築による街づくりについて詳細を解説しました。

富永氏は「自治体アプリのようなプラットフォームの導入によって、街のステークホルダーが一緒に知恵を絞るスポットが生まれ、継続的に地域課題を考え解決する場所にもなっています」と締めくくりました。

講義の後半では、授業で紹介されたスマートグラスや双方向でコミュニケーションがとれる360°カメラなどの端末を実際に操作しながら、最新の技術に触れることでより学びを深める時間が設けられました。

企業の担当者からサービスを運営したことで得られた知見を直接教えてもらうことができ、受講生たちは積極的に質問したり、興味深そうに聞き入ったりしていました。

まとめ

業界のトップランナーである企業の担当者から、最先端の話を聞いて質問できる貴重な機会となりました。また講義で学んだことをその場で直接見て触って体験することで、より理解を深めることができました。今回学んだことを活かして、実践科目では実際に地方でフィールドワークに取り組み、地方の課題解決のアイデア創出を行います。

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