2021.11.26

1日目 「事業構想概論」と「地域活性と事業構想」

1日目 「事業構想概論」と「地域活性と事業構想」

初日は「事業構想概論」を通して、不確実な先の見えない時代にこそ必要になる事業構想の基本的な考え方を学びました。また、「地域活性と事業構想」では、地域活性の分野で実践されている事業構想をもとに、事業構想に対する考えを深めました。

事業構想概論①事業のビジョンを練ることができる人材へ

講師:事業構想大学院大学 研究科長・教授 谷野 豊 氏

本プログラムの最初は「事業構想」を「生産要素(経営資源)を投入し、永続的に利益を上げる組織の全体像」と定義づけるところからスタート。ジグソーパズルは、完成図をもとに全体像を把握できるから、どこに何のピースが合致するかがわかります。それと同じで、事業も全体像が必要です。つまり「事業構想大学院大学」とは、事業の全体図を作る人=事業構想修士(専門職)を育てる場ということです。

講義では、こうした「事業構想」そのものの話から始まり、谷野教授は事業構想修士(専門職)を目指すために意識するべき段階について具体的に解説。また、事業構想大学院大学やこのプログラムにはさまざまなバックボーンを持つ人が集まっているため、お互いを尊重し、コミュニケーションを深め、アイデアやアドバイス、良い批判を出し合うことが大切だという話に、多くの受講生が頷いていました。その後には「個人ワーク」も実施。「関係人口」や「公共交通」など、各自治体から挙げられている7つの課題テーマの中から興味関心があるものを選び、アイデアを考える時間も設けられました。

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事業構想概論➁個人ワークをグループで共有し、視野を拡張する

講師:事業構想大学院大学 研究科長・教授 谷野 豊 氏

個人ワークでまとめた自分の意見を、グループワークで共有しました。それぞれがどのような考え方を持っているかを発表して考えを深めるのはもちろん、所属企業や自身の経営資源を伝え合うことでお互いを深く知り、フィールドワークに生かすことが狙いです。

グループで議論した内容は、それぞれグループの代表者が発表。例えば、青森県八戸市の地域活性化について「八戸は港町のイメージが強いが、野菜の栽培にも力を入れている。農家と農業をやりたい人をマッチングし、野菜づくりを伝承する仕組みを作り、次の段階として海外に販路開拓していってはどうか」というアイデアや、岩手県北上市の関係人口について「景勝地や伝統芸能の鬼剣舞を起点に、関係人口を増やせないか。例えば、ふるさと納税の返礼品を体験型の農業や鬼剣舞の体験にしたら町が活性化するのではないか」といった意見が挙がりました。どのグループも、個々の専門領域や興味関心をすくいあげた上で議論を進めていました。

本プログラムでは、こうした机上のグループワークだけでなく、フィールドワークで各自治体を訪れ、それぞれの土地の魅力や地域資源を実際に自分たちの目で確かめて、イメージと違うことを体感してもらい、フィールドワークの重要性を感じることもポイントです。

地域活性と事業構想地域の魅力創出を入り口に事業課題の根本的解決へ

講師:事業構想大学院大学 特任教授 青山 忠靖 氏

日本の多くの地域が直面している課題は「人口減少」です。その理由は「生活利便性」と「地域の魅力」の低下にあると考えられます。青山特任教授は、この2つを高められれば、地域の事業課題解決につながるヒントが見えてくるのではないかと提起。一方で「事業構想にあたっては安易な結論を求めてはいけない」として、問題から課題を抽出し、さらに分解することがアイデアのもとになると語られました。

青山特任教授は具体的な事業構想事例として、2022年に自身が関わった兵庫県丹波篠山市の事例を紹介。年間数10トンも廃棄される名物の黒枝豆を、大量生産が可能な製品の原材料として転用するため、民と官さまざまな協力先を募り、最終的に「丹波黒枝豆フォカッチャ」として販売しました。このプロジェクトはまさに地域の魅力を伝えるとともに、課題解決につながっています。さらに、地域資源を最大活用しながら地域ブランドをデザインする手法について、古くからその地に伝わる「桃太郎」の伝説を活用した山梨県大月市の事例なども紹介されました。

ほかにもさまざまな地域の事例が映し出され、真剣な顔で聞いていた受講生たち。講義を通じて、その地域が抱える問題を発見するともに、文化や気質・気概など固有の地域資源を生かしながら、一人ではなく「みんな」で新しい事業の創出を目指すことを改めて確認しました。

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まとめ

地域活性には必ずしも、技術革新やDXが必要だとは限りません。また、どこかの成功例を真似ればうまくいく訳でもありません。まずは地域の課題にとことん向き合うこと、そしてそこから絞り出した小さな試みでも、生活者に好ましい変化を与えることができ、それがひいては地域の課題解決やイノベーションにつながるのだということを学びました。
また初日ということで初めは緊張していた受講生たちでしたが、グループワークを通じてお互いを知り、活発に意見を交わしていました。

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